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第20回科学技術交流フォーラム 「サイバーフィジカル情報革命」

−ホリスティクセンサーからの情報爆発を価値創造に結び付ける次世代ITインフラ−

開会挨拶: 影山 和郎(東京大学 産学連携本部 教授・本部長)

挨拶: 松本 洋一郎(東京大学 理事・副学長)

  • cyber(コンピュータの世界)とphysical(モノの世界)をどうむすびつけるか。いかに価値をつくりだすか。

特別講演: データ主導イノベーションに向けて

  • 東條 吉朗(経済産業省 商務情報政策局 情報処理振興課長)
  • CPSの応用領域: 「健康・疾病管理」と「道路・橋梁保守管理」は似てる。
  • データ主導イノベーションに向けた政策空間
    • ビジョンと戦略の共有: データを各プレーヤ間で転用できるようにするか
    • 技術開発と社会実証の推進
    • 標準化と相互運用性の確保: 標準化は上から押し付けるのではなく、たくさんある規格を相互に変換する方向で。
    • イノベーションと権利保護とを両立する制度の整備:
      • データマイニングで個人が特定されてしまう問題
      • 囲い込みによって利益を出そうという圧力に対してはデータの相互取引市場の整備する
  • イノベーションと社会的受容との好循環の実現:
    • データを提供することへの抵抗感は、
    • まずは安心させておいて、センサーを設置したりデータの提供を受けたりして、
    • その利便性をわかってもらうことで、積極的にデータを提供してくれるようになる。
    • この好循環によりその地域の発展が促進される。

基調講演: 情報爆発が牽引する次世代社会ITプラットフォーム「情報融合炉」の展望

  • 喜連川 優(東京大学 生産技術研究所 教授)
  • CPS: いまワクワク感があるものといえばこれしかない。
  • いまNSFはCPSに金をつぎこんでいる。
  • 代表的な利用例としては飛行場の離発着の3次元密度を上げること。
  • 組み込み系は重要で日本が強い分野だが機器が連携してない。連携することで新しいITが生まれる。
  • CPSの例:
    • ERP(Electronic Road Pricing): シンガポールで道路の通行料の自動徴収システム
    • ENRL: イタリアの電力会社
  • 国内での例:
    • コンビニ
      • 店員はとっても忙しい(高度に最適化されているため)。
      • Lowsonは8000店舗ほどあるが、コンビニはいろんなところにあるのでマニュアル化しにくい面がある。
      • 電力を測ってみたらオープンケースが電気を喰っている。
      • (スパコンみたい)にホットアイル(室外機)/コールドアイルを分けるようにしたら、ぐっと省電力になった。
      • エアコンフィルタをどのくらいの頻度で掃除すればいいとか
      • 照明はどのくらいまで落しても売上に影響がないかなど
    • 海運事業
      • 従来は船を作るコストが高かったが、今は石油が高騰したので運用コストを最小化するのが重要になった。
      • データは集めていた。
      • 天気がよければ問題ないのだが。
      • 荒天のときに遅れまいと出力を上げるが、上げすぎると早く着きすぎて沖合で停泊するムダ。
      • 追い風を有効利用(ウェザールーティング)したいが条件が複雑。
  • twitterとかblogとか大した情報量ではない。サンサーが吐き出す情報の方が膨大。
  • メタボ健診(この会場に来ている人はほとんどひっかかると思うがとジョークを挟む)
    • 保健指導は手間がかかるのでセンサーで自動計測したい。
    • そもそも糖尿病の専門医は少ないのでスクリーニング重要。従来、スクリーニングというと重症患者が対象だったが。
    • IT技術の保険点数化も必要。
    • 調べてみると逆白衣高血圧の人もいた。
    • カナダでは遺伝的に50%の人が高血糖の地域がある。そういうところでも実験がおこなわれている。
  • 企業のお金のつかいかたをみると、外付けストレージが伸びてきている。計算よりもデータ自体に価値を感じている現れ。
  • 技術は指数関数的に発展していきているが、法律は人間がやることなので線形でしか進まないため、法律の整備は遅れてしまうのは本質的な問題。プライバシの問題でどう折り合いをつけるか。
  • 以前は分散処理というと位置透過性が重要だったが、今は位置情報を扱うことが重要。

招待講演: Realizing a Smarter Planet through Advanced Intelligent cyberphysical Systems

  • Dr. Harry R. Kolar (Distinguished Engineer, Sensor-Based Solutions, IBM Research)
  • ヒアリングできないくせに同時通訳を聞かなかったので1bitも理解できず。

講演1: ユビキタスパワーネットワーク

  • 谷口 治人(東京大学 大学院工学系研究科 特任教授)
  • スマートグリッドとかインテリグリッドとか。
  • 各戸ではスマートメーターで測定。
  • 太陽光発電をこの勢いで導入していくと受容の1/5をまかなえる計算。
  • 配電では距離が遠くなるにつれ電源電圧が落ることを考慮に入れているが、太陽光発電など分散電源があると想定より電圧が高くなってしまう問題がある。→ 調整の必要性。
  • 余剰電力を吸収するには、揚水、火力発電の出力を減らす(でも最低出力の制限がある)、バッテリに溜める。
    • 原子力発電が増えると調整が難しくなる。
  • 周波数を安定させるために、遠隔地点間で位相差を測って調整する技術。

講演2: スマートシティ化に向けてのバーティカル・ガーデンシティ

  • 森 浩生(森ビル株式会社 専務取締役)
  • ITの話は1ビットもなし。
  • 低層住宅をやめて高層ビルにすることで地上に余裕ができる。→ 資産価値の向上。都市の国際競争力。
  • マンハッタンの就業人口の約半分がマンハッタンに住んでいる。一方東京(中央、港、千代田、新宿)は1/5くらい。
  • 民主党になってよかったのは都心から20分でアクセスできる羽田の国際線が増えたこと。
    • 国際的にみて成田の50分は遠すぎる。
  • ビルは10階建でも50階建でもコスト坪単価は100万円くらいで同じ。→なら高層の方が地上が広くなって有利。
    • 3haの土地に100m2の2階建の建物300戸 → 3haの土地に50階建の超高層住宅(800m2)が1棟: 全体の3%に集約可能。
  • 立体的にして完全な歩車分離を実現できる。
  • アークヒルズ
    • 開発には17年かかった。
    • 200人の人が住んでいたが、そこに残ったのは50人ほど。150人からは土地を買った。
  • 六本木ヒルズ
    • 1986年から17年ほどかかかった。
    • 500人住んでいて、残ったのは400人。阪神淡路大震災があったので古い町並みをなんとかしたいという住民の気持ちもあった。
    • ちょうどバブルだったので売るのを待ちたい人もいた。
    • 14年目 2000年に着工。
    • ミーティングはあわせて2000回ほどおこなわれた。
    • どこに入居するか、みんな東南角部屋がいいと言うが、それだと落選すると一気にランクダウンするので、その調整に時間がかかる。
    • 麻生消防署から麻布重版商店街へのアクセスがよくなったため、火事による死亡者数がぐっと減った。
      • (ここで死亡者数0の記録が途絶えた火災の話で失笑したのは不謹慎だなぁとおもった)
    • ガスタービン発電などで72時間は電力を供給できるので、外資系のトレーディング会社などに人気があるらしい。
    • オフィスとホテルがいっしょになっていることで、昼と夜の需要のピークカットができるメリットがある。
    • multi-function: 縦の移動だけで用が済む。
    • 森美術館: 美術館は基本的に黒字にならないが、イメージ戦略として必要ということらしい。8億円の赤字。これは展望台の黒で埋める。
    • あまり利益の話をしなかったが、株式公開していないので単年度利益はそれほど重要ではない。創業者の、いい街をつくれは結果的のもうかる、という哲学がある。

講演3: 顧客満足度を高めるAmazonの戦略と物流

  • 瀧井 聡(アマゾンジャパン・ロジスティクス株式会社 代表取締役社長)
  • ITの話は1bitもなし。
  • 顧客満足度を高める3本柱
    • 品揃え amazon.co.jpでは2000万点。
    • 低価格
    • 利便性
  • カスタマーセンターは重要だと考えていて、内製で札幌にある。
  • 千葉にフリフィルメントセンター(物流センター)をつくったのは、書籍CDの輸入が多いのと宅配ハブに近いことから。
  • ペット用品をあつかい始めたのにあわせて、ペット休暇をもうけた。
  • マーチャント(第3者出品者)
    • 200万出品者
    • FBA: fullfillment by amazon
    • 商品数で34%ほど。
    • アマゾンに商品を預け、物流の手間をはぶける。
    • 消費者からするとアマゾンの商品と混ぜて購入できるメリット。
  • FBAマルチチャンネルサービス
    • 楽天とか他のところで販売するが流通はアマゾンという形態。

講演4: IT農業−持続可能な農業を目指す情報技術

  • 二宮 正士(東京大学 大学院農学生命科学研究科 教授)
  • 農業は還元論的に理解して実施するのは困難という現実。
  • データをとりまくってマイニングしまくることで効率を上げる。
  • 海外では温室をパッケージ化している。
    • 日本だと暖房設備だとか種だとか別の会社だが、これをまとめることで素人でも農業を始めれるようになっている。
    • 日本にも導入されてきていて、データがオランダに集まっているという状況。これはまずい。
  • カメラで観察することで色合いをみて収穫時期を通知するとか。
  • 圃場の表面をプラスチックでおおって完全に水分をコントロールしたり。
  • 高価な測定機器はなかなか買えない→Field Doctor構想
    • 測定機器を積んだ巡回車両を用意してあちこち回る。
  • MetBroker: データのアクセス方法がばらばらなのを、統一的にアクセスするしかけ。
  • センサーは1haに1個くらいは欲しい。となると1.5G個になる。それが実現できるかどうかは価格の問題でしかない。データ処理は無問題らしい。
  • 大陸からのウンカの飛行予測
    • 実際にウンカをつかまえた場所と風向きから逆計算することで、どこから来ているかわかる。
      • それだけだと予想がばらつくので、気温や画像解析なども条件に入れることで絞り込み。
    • いつごろどこに来るかわかれば農薬の使用もピンポイントでできる。
  • AgriPlatform: データのつかいまわしをできるように。
  • e地蔵、e案山子、eきのこ
    • softbankの協力
    • e案山子: 乾電池で半年動く(ソーラパネルなし)。ポンと置くだけでいい手軽さ。1時間に1サンプル。
    • e地蔵: e案山子からZigBeeでデータをあつめてきて、外のサーバにアップロードする。
    • eきのこ: ボタン電池よりちょっと大きいくらいで、センサーをもっていていてデータをe案山子に転送する。
    • open化の予定あり。
  • 米の品質と気温の関係
    • 気温が高いと品質が落ちるとされているが、データをとってみると新潟が特に悪い。
    • 作りかたの違いなのか、肥料の違いなのか、

講演5: CPSの衝撃と次世代IT研究開発

  • 坂内 正夫(国立情報学研究所 所長)
  • フラワーモデル ((謎))
  • 社会基盤としてのopen data
  • センサーネットワークの例: プローブカー
    • 渋滞予測するには最低15%必要
      • 3社(トヨタ、ニッサン、ホンダ)が個別にやっていたのでは足りない。
      • タクシーなども対象にするとか
      • データのかこいこみをしたくなるが、そこを共有できるようにならないと。
    • 車で画像処理して人をトラッキングすることで、人の動きを知ることができるようになったり。
    • 衣・食・住が足りると → 心(こころ)・命(いのち)・界(せかい) が重要になってくる。
      • → shiN meI kaI → NII というオチ。

閉会挨拶: 寺澤 廣一(東京大学 産学連携本部 特任教授・産学連携研究推進部長)

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アマゾンが全然ITの話をしなかったのが残念だった。それを聞きたかった人は多いはず。